R4年7月は利用者支援の際に求められるコミュニケーション技術について学びました。
「傾聴」と「要約」を大切にする
傾聴
コミュニケーションにおいて〝相手の話を聴くこと〟は基本中の基本。
傾聴することで相手は「もっと話したい」という気持ちになり、利用者様の知らなかった内面を深く
理解することができる。
信頼関係が生まれ、よそよそしかった関係が一気に改善されることもある。
「聞く」何気なく耳に入ってくる聞き方。意思と関係なく音が耳に入ってくる状態。
「聴く」音楽や講演会など何か聴きたいという意識をもって聴く場合に使う表記。
「傾聴」は「相手の話を聴きたい」という気持ちを持って意識的に聴くこと指す。
「訊く」質問すること。わからないことを尋ねる場合に使う。
要約
要介護状態にある高齢者の多くは、自分の思いや気持ちをうまくまとめて話すことが苦手な場合がよく
ある。利用者様が何を伝えようとしているのかを汲み取り、話の区切りがついたタイミングを見計らっ
て、「わかりました。おっしゃりたいことは○○○ということですね」など、利用者様の言わんとする
ことを簡潔にまとめて伝えるようにする。
要約が的を射ていれば、ここでも信頼関係が増幅する。
要約が難しい場合や利用者様自身が簡潔に伝えることができた場合は、その言葉をこのまま〝繰り返
す〟ことも有効。
その他の有効ポイント
・傾聴しながら、話の節に「相づちをうつ」
・同意すべき時に「うなずく」
・話の内容に応じて感情をコントロールし、「アイコンタクト(目の表情)で返す」
事例① おむつ交換の際、ホームヘルパーによっては受け入れてもらえない
・人権を尊重した支援&同性介護を基本とする
利用者様がどのような状態でも〝人権を尊重した支援〟をしなければならない。
「あの人は認知症だから」「この人とは気が合わないから」などを理由に手を抜く、作業的にこなす
といったことが絶対にないようにする。
「必ず同性介護で」と限定できないが、特に女性の排泄や入浴介助は希望があれば対応する。
排泄介助のような羞恥心に配慮を要する支援の場合、むしろ会話を多用することが好ましい。
おむつや排泄の話題とはまったく関係の無い会話をしながら、「気がついたら終わっていた」といっ
た支援が望まれる。
Q.おむつ交換時、どんな会話をすればいい?
A.利用者様の生きる意欲や前向きな気持ちを高める話題がよい
(例)「○○さんがデイで作られたカレンダー、素敵ですね。次は何を作るのですか?」
「今朝は冷えましたが、お身体のお加減はいかがですか?」
事例② 高圧的な態度でホームヘルパーに指示。大声をあげて怒鳴り散らかすことも…
・高圧的な態度に対しても慌てず、冷静に接する
高圧的な態度で計画内容と異なることを頼まれても、「今日は○○を希望されているのですね。
でもそのサービスは以前話し合った内容に入ってなかったのでこれから追加しましょう」「私たちの
支援をご利用いただくのであれば、そのための手続きが必要ですのでそこはご理解ください」などと
丁寧に伝えて理解を得る。
・可能であれば、支援に携わるスタッフの中で、利用者様と一番うまく関われている人が利用者様に対
して助言するのもひとつの方法
聞き入れてもらえなければ、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談する
「利用者様VS支援者」という構図は作らないこと!
事例③ 歩けるはずなのに歩こうとせず、声をかけても聞く耳をもってくれない
・前向きになれるきっかけを見つけて、声かけにいかす
病気や要介護状態になった高齢者は、多くの場合、それまでしていたこと(役割や趣味など)を失う。
そうすると人間は生きる意欲を喪失する。
そうした時に私たちがすべきなのは「何か楽しいことをしてみませんか?」「以前、楽しんでいた趣
味は何ですか?」など、利用者様が前向きになれるきっかけを見つけられる言葉をかけることです。
直接本人様に聞くのはもちろんですが、家族や周囲の人から聞いたり、部屋の様子などから趣味や関
心があることを探ってみる。
額縁に入れて飾っているものや置物などからも利用者様を知ることができる。
(研修まとめ)
私達介護に携わる仕事において、一番難しいのが利用者様とのコミュニケーションだと常に感じてい
ます。
今回の研修でいろいろな「事例」を勉強しましたが、現実はなかなかうまくはいきません。
長きにわたり豊富な人生経験を積んでこられた高齢者、また今までの生活が一変、要介護状態になら
れたり、障害者になられてその状態を受容するまでのプロセス(過程)の途中であったりしておられる
方々に向き合い、支援していく仕事に携わっている私達も、とても大切な人生勉強をさせていただい
ていることになります。
「ユマニチュード」の基本的な考え方(哲学)というのを読んでみました。
「人が誰かと良い関係を結んで楽しい時間を過ごすときに自然と行っていること」を「ケアの場にお
いても同様に行います」と書かれていました。
福祉という仕事は大変で難しいが、意義のある仕事であり、必要な仕事だと思います。