R4年3月は高齢者虐待について学びました。
高齢者虐待は年々増加傾向にある。本人にそのつもりがなかったとしても、虐待であると判断される可能性は十分ある。何気ない言動が利用者様や家族を傷つけているケースは少なくない。
「不適切なケア」は介護事故の原因となったり、徐々に虐待に発展するおそれもある。利用者様や家族の思いに耳を傾けることが重要である。
〈虐待の種類と感じられた言動〉
1.身体的虐待…暴力的行為によって身体に傷やアザ、痛みを与える行為や外部との接触を意図的・
継続的に遮断する行為。
・声かけなしにベッドから車椅子に移乗させられた
・認知症だからわからないだろうと頭をたたかれた
・大きなスプーンで口いっぱいに食べ物を入れられ、うまく飲み込めずむせてしまった
・車椅子に乗っている母がベルトで拘束されているのを目撃した
2.心理的虐待…脅しや侮辱などの言葉や態度、無視、嫌がらせ等によって精神的に苦痛を与えること
・自分の目の前で便の状態について家族に報告された
・「何をやってるんだ」「ぐずぐずするな」と乱暴な言葉遣いをされた
・喫煙していないのに、「たばこの臭いがする」と疑われ、否定すると「嘘つき」と言われた
3.介護・世話の放棄、放任…必要な介護サービスの利用を妨げる。世話をしない等により、高齢者の
生活環境や身体的、精神的状態を悪化させること
・何度呼んでも「今は忙しいから後で」と言われて対応してもらえなかった
・汚れたシーツをすぐに替えてくれなかった
・入浴後、髪の毛を乾かしてもらえず、びしょびしょのまま放置された
・まだ十分トイレに行けるのに、おむつをはかされた
4.性的虐待…本人が同意していない性的な行為やその強要
・カーテンを開けっぱなしのまま、おむつを交換された
・異性のホームヘルパーに入浴介助されて戸惑った
・下着をはいているかどうか、急にズボンを下げて確かめられた
5.経済的虐待…本人の合意なしに財産や金銭を使用し、本人が希望する金銭使用を理由無く制限する
こと
・ホームヘルパーに金銭を要求された
・不当な料金を請求されている
・事前の確認なしに預けたお金でゴム印を購入された
「利用者様や家族の気持ちを尊重すること」と「介護のプロとして必要なケアを提供すること」を両立するための大切な2つのポイント
①ケアプランに立ち返りチームで向き合う
気になることがあれば、自分だけで抱え込まず、積極的に事業所内で情報共有し、「関係するスタッフ
みんなで解決すべき問題」として取り組む
個別検討し、“虐待”ではなく、“適切なケア”としてケアマネジャーにケアプランを見直してもらう
②言動の背景を知り、早期発見に努める
利用者様の言動の裏にある思いをしっかり汲み取ることが大切
(例)病院へ行きたくない
A.外出するのが面倒なのかも?体調が悪いのかも?
→健康状態をあらためて確認(虐待や不適切なケア以外の理由も考えられる)
B.もしかして体に傷やアザがあるのかも?それを見られたくないのかも?
→身体的虐待がないか確認
C.前回の通院時に何かあったのかも?介護者の強い言葉に傷ついたのかも?
→心理的虐待がないか確認
早期発見するポイント
精神面のサイン ・大きな声やちょっとしたことでおびえる
・以前よりも活気がない
・何かをあきらめたような無気力な様子がみられる
行動面のサイン ・必要な介護サービスを受け入れない
・肌をかきむしるなどの自傷行為がある
・わめく、泣く、叫ぶなどの行動がある
体のサイン ・不自然な体重の増減がある
・体に小さな傷やアザがある
(研修まとめ)
先日、弱視の方に対し、一般の方が「目に見えないなら何色でもいいじゃない?」と何気なく
おっしゃっていたのをみました。
たとえ全盲の方であったとしても、本人の好きな色を着る権利はあるのに、「見えない=必要ない」
と考えられてしまう。そんなことに惑わされず、一人の人間として利用様に接していきたいと思いま
す。