R4年2月は自立支援について学びました。
自立とは「自分の力で独立すること」を意味するが、社会福祉の視点では、「一般には人が成長とともに身体的、精神的、経済的に個人の有する能力で他人の力を借りずに生活すること」である。
介護における自立
食事、排泄、更衣、移動、入浴などの日常生活を営むうえでの基本動作ができるかどうかの評価として、「ADL(日常生活動作:Activities of Daily Living)の自立という言葉が用いられる。
ADLの自立は「人間としての尊厳を取り戻すこと」として、「全人間的復権」がリハビリテーションの目標となっている。
日常生活上の基本動作ができるようになると、介護の必要はなくなったと考えることもあるが、「自立した日常生活」の維持、継続が可能になったといえない場面が多い。
(例)食事をするという行為には買い物、調理、食べる、後片付けの一連の行為が必要
食事を口に摂取する○ 買い物、調理× →支援要
食事を口に運ぶ ○ 認知症状などにより目の前の物を認識できない→支援要
それぞれの能力に応じた自立への支援とは、利用者が行う生活行為の中で、どこに生きづらさや不自由さがあるかを考え、見極め、その人の自立している面を阻害せずに残存能力を引き出し、自立性を伸ばしていくことである。
自律とは「自分自身の規範に従って生活する」という意味があるが、介護の分野では「身体機能やADLが自立していなくても、選択権が尊重され、自分の意思で行動や生活ができること」と解釈される。
(例)四肢麻痺の重度障害者のAさん
自分での調理×
訪問介護員に食べたい物を伝え、買い物や調理をしてもらい、介助により食べる○
手足を動かすということだけでなく、自分の生活を自らが組み立て、主体的に暮らすと
いうことが自律的な生き方として尊重される。
自分の意思をはっきりと伝えることが困難な人の場合、支援する人の判断で物を決めてしまう場面があるが、本人の考えを汲み取り、「かけがえのない生」を尊重することは、人間の基本的価値に基づいた行為である。
利用者と生活の不自由さや生きづらさを共有し、自分の意思を表出できるようなはたらきかけを工夫し続けることも介護職の役割であり、自律への支援である。
介護の目標を決めるには、ADLの自立かQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を目標にするべきかは重要ではない。
身体機能の改善がADLの自立性を回復する可能性があれば、その方向を目指す。
また、生活環境を工夫することでADLの自立性を高まるのであれば、それを目標にすることもある。
その際の介護職の基本姿勢は主体性の尊重である。
(例)「ベッドから離れて、ためには出かけましょう」と誘っても、ベッドから離れる意味
づけがはっきりしないと、動こうとする動機や欲求にはつながらない。
コミュニケーション過程において、意思伝達ができなければ、動機づけにならない。
その人の生活に即した出かける意味や内容を考え、その人の心身機能を考慮した個別性に合わせたはたらきかけ方が重要となる。
生きてきた環境や時代背景によってもそれぞれのとらえ方は異なり、各々の生き方への理解も大切である。
(研修まとめ)
自立するというのはなかなか難しい言葉だと思います。
人それぞれでこの自立は「旅立ち、巣立っていく」という感じで受けとめています。
一方、介護での自律は、ADLをふまえて、できない部分の手助けをするということだ
と思いますが、そう簡単なものではないと思います。
利用者さまの意思を尊重しつつ、適切な介護をすることは難しいが大切だとも実感しま
した。