9月は、「虐待防止のためにできること」について勉強しました。
9/21(枚方市地域包括支援センターパナソニックエイジフリー圏域11:主催)
事業者間意見交換会があり、今回のテーマ「これって高齢者虐待なの?」でした。
高齢者の虐待には大別して5つ、身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待、及び介護・世話の放棄・放任がありますが、その具体的事例がどれにあてはまるか、考えました。
その中で注意を要する事例、一見すると「身体的虐待」にみえるが「介護・世話の放棄・放任」の事例を示します。
「介護・世話の放棄・放任」の具体例
☆本人女性(80才)、長女(60才)孫(30才)3人暮らし
本人:要支援2、認知症状なし、外出はシルバーカー使用、室内は手すり移動
養護者:長女(家事を全て行う)
孫がトイレに行こうとしたら、前を祖母が歩いていた。
「どいて、邪魔や。」と孫は祖母を押した。
祖母はふらついてこけそうになった。
孫は通りざまに祖母を蹴った。
長女は黙って見ていた。
「孫の身体的虐待」ではなく、「養護者の長女による介護・世話の放任」にあたる。
養護者である長女は同居人である孫の祖母への身体的虐待、心理的虐待を制止し祖母を守らねばならない。
軽微に見えても日常的に行われたり複数の行為が重なっている場合は、
高齢者の精神的な影響は大きいので注意が必要である。
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(高齢者)虐待と聞くと、生命にかかわるような暴力をイメージしますが、
実際はそれはほんの一部で、多くは家族介護者にも自覚や悪意がない行動や発言です。
これまでの実務において、虐待であったかもしれないと感じた事例は、
主人様が奥様の介護をされている事例です。
食事介助で何回も汚されたり、衣服交換でスムーズにいかなかったり、
イライラして奥様に怒りながら乱暴に行っていた。
虐待を受けている利用者様の心の状態はパワレス状態です。
恐怖と不安、無力感、選択肢がない等の状態です。
ホームヘルパーはどうすればよいでしょうか?
実践1(ホームヘルパーができること)
虐待かもしれないと思ったら、
①通報
サービス提供責任者に報告する
ホームヘルパー本人が地域包括支援センターに連絡する
ケアマネージャーに報告を入れる
②事実確認調査
ホームヘルパーへの聞き取りが実施される場合がある
③コアメンバー会議やケース会議で方針決定
④見守り・介入・緊急対応
→大事なことは、通報義務が守秘義務より優先、知らせることが確かめることより優先である。
実践2(ホームヘルパーが日々のサービスでできること)
①寄り添う姿勢で、利用者様の話を聞く
あなたを大切におもっていることが伝わるように、
背中をさする、手を握るなど気持ちに寄り添う。
②利用者様の言葉から虐待が起きている可能性を考える
利用者様がぽつりと呟く言葉から虐待の可能性に気付くことがある。
③家族介護者に介護方法をアドバイスする
家族介護者の負担を軽減する。
④介護者が眠ることができているか尋ねる
虐待の背景には夜間の頻回な排泄介助、
介助者のうつ症状による不眠等があるため。
(虐待の終結)とは、虐待が解消し、虐待を受けた利用者様が安定した生活を送れるようになるまで。
ヘルパーは介護を受ける中で悲しみに耐えている利用者様を守り、また介護に悩みながら生活している介護者を支えなければなりません。ホームへルパーができることは「気づく、知らせる、支援する」です。
現在担当している利用者様の中に、虐待が疑われる方はおられませんが、
日々のサービスにおいて、利用者様の言葉や家族様の様子を注意深くみていきたいと思います。
妹尾昭美